ゴン太の 右うしろ足

17日の夕方の散歩で、

ゴン太が とつぜん

右うしろ足を引きずり始めた。

それまでも、散歩時に

足の爪が時々 アスファルト

擦る音を聞いてきたが、

高齢犬ならではのものだと思っていた。

それだけに、今の今まで

足の異変に気づいてあげられなかった。

 

散歩中に

足を引きずるようになったこと、

歩いていても よろけたり

草むらに ぐにゃりと座り込んだり

道路の真ん中で

緩やかに横たわるようになるのを見て、

それで私は初めて

ゴン太の右のうしろ足に

そっと触れてみた。

すると右うしろ足の太ももに、

手のひら大の何かが……。

何なのかは わからないが、

まちがいなく違和感がある。

足が腫れている?

…というか、

…ブヨブヨしてる?

 

すぐに病院に連れていった。

すると触診しながら先生は

「これは肉腫ですね」と告げた。

筋肉のがんなのだと。

その日から

炎症や痛みを抑えたりする

少しきつい薬を服用している。

とりあえず1週間ぶん。

 

それから?

薬の量を減らしていくらしい。

それから?

それから  どうするんだろう?

 

「こんなことを言ったら…」

と前置きをした先生いわく、

「痛みがひどくなった時には

安楽死という選択肢が…云々」

 

「はい」「はい」と

それまでは頷きながら話を聴いていたが、

そこんところで、私の「はい」は

止まってしまった。

こんなことを告げられる日が

とつぜんやってくるなんて。

 

それでも

ゴン太は懸命に生きている!

痛いのか違和感があるのか

力が入らないのか

散歩に出かけても歩きにくいし、

散歩の距離は

一気に短縮されてしまったけれど、

大好きなエサやおやつを

美味しそうに食べているし。

だけど、それ以外は

静かに眠るようになった。

それは 悲しいほど静かな眠りだ。

 

3月からバタバタがつづいたが、

さらに慌ただしくなった4月。

ため息混じりの春の日々。

それでも ゴン太のかわいさは

健在です🍀