生きること

朝は肌寒いが、

日中はまだ夏日が続いている。

 

お祭りの前日に掲載された

支局記者さんの記事。

元はといえば、

私が今の仕事を始めた時に意気がって

「女だんじりの記事を書かせてください」

なんて、恥ずかしげもなく

言ってしまったのが発端。

 

みるみるうちに月日は流れ、

あっという間に お祭りの季節が

やってきた。

私なんかに、やっぱり記事が

書けるわけない…と、

ここに来て ぶちょうさんに頼んだら

新人記者さんが取材に行ってくれ、

地域欄に大きな記事が

掲載されることとなった。

いい記事を書いてもらえ、

やはりプロは違うわ、と脱帽した私。

 

そんなことは置いといて、

この記事…というか、この写真が

地域の人に大きな反響を呼んだ。

写真が必要だと言われ、会の人が

以前の写真を数枚 渡したらしい。

そのなかで向こうが選んだ1枚が、

この写真。

 

先頭を走る会員の“I”くん。

仲間の中でも一番の仲良しで

弟分と呼んでいた“I”くん。

彼は3年半前に病気で他界した。

まだ45歳になる前だったはず。

亡くなった彼が写った写真を見て、

誰もが驚き、懐かしみ、切なくなった。

とりわけ、“I”くんのご家族は

泣いて喜び、

親戚中で大騒ぎになったそう。

「息子が載ってる!」って。

そして、女だんじりの会に

連絡してきてくれたらしい。

その話を聞いた私達は、

思わずウルウルしたものです。

 

実は、その“I”くんの隣を走る

おっちゃん(よっちゃん)も

亡くなってしまった。

そんな風に、誰より元気だったはずの

人たちが 今はもう、

この世から いなくなっている。

 

この記事を見て胸を打たれた人が

他にもいた。

そして、急きょ

だんじりを曳きに来てくれた。

その女性は、内臓なんて

ほとんどなくなった…というぐらい、

何度も大病をしては

切除手術を繰り返してきたらしい。

もう、だんじりなんて曳くことは

ないと思っていたけれど、

あの写真の“I”くんと よっちゃんを見て、

今年が最後と思って曳くことにした。

生きているうちに やらなきゃ。

…と、話してくれた。

 

新聞記事が

こんなに人の心を動かすことに

私はすごく感動し、

先日 挨拶を交わした

支局の新人記者さんや

いつもの ぶちょうさんに

今回のことを伝え、お礼を言った。

ぶちょうさんからは

「いろんな人の

お役に立っているとしたら、

やりがいになります」

との返信をいただいた。

 

それから数日…

私は生きることについて

また深く考えるようになった。

そんな祭りのあとの

秋の日々…。